【個人事業主向け】おすすめの節税方法【結論です。】

サラリーマン向け 個人事業主向け 税金

フリーランスや個人事業主として独立したけど、節税方法がわからない方へ。普段、領収書を集めて確定申告の際に経費計上・・といった具合の節税は当然ですが、それだけではありません。守備を固め、将来を見据えたオススメの節税方法をご紹介します。
本記事では、下記の内容を解説します。

  1. オススメの所得控除と控除対象金額について
  2. 起業時にやるべき事
  3. まとめ

今回ご紹介する節税方法以外にもいろいろありますが、まずはこれからご紹介する内容を抑えてからをオススメします。理由は節税に効果的でかつ、将来に備えた内容となっているからです。他は「そんなのあるんだ~」くらいで大丈夫です。一応ご紹介しますが、自分が該当するかもと思ったら調べて見てください。大半の方は今回の内容で一通り網羅できると思います。

一応ご紹介・・・

  • 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)
  • 医療費を支払ったとき(医療費控除)
  • 社会保険料控除  ・・・・・・・今回の内容
  • 小規模企業共済等掛金控除  ・・今回の内容
  • 生命保険料控除  ・・・・・・・今回の内容
  • 地震保険料控除
  • 寄附金控除  ・・・・・・・・・今回の内容
  • 障害者控除
  • 寡婦控除
  • 寡夫控除
  • 勤労学生控除
  • 扶養控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 基礎控除

国税庁 所得金額から差し引かれる金額(所得控除)より

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【個人事業主向け】おすすめの節税方法

①オススメの所得控除と控除対象金額について

税金の金額を計算する上で課税所得金額が計算の基準になっています。課税所得金額を計算する前段の所得控除の適用を受けられれば、課税所得金額が少なくなり、所得税・住民税の金額が減り節税となります。

  • 収益 - 費用 - 専従者給与 - (青、又は白色申告控除) = 所得金額
  • 所得金額 - 各種控除 = 課税所得金額

*詳しく知りたい方は【個人事業主向け】税金・保険について【仕組みを解説】をご覧ください。
ここでは起業やフリーランスとして独立した方にオススメする節税方法、つまり所得控除の種類と払込に対する控除対象金額をご紹介いたします。

  1. 社会保険料控除
  2. 小規模企業共済等掛金控除
  3. 生命保険料控除
  4. 寄付金控除

所得控除は他にも配偶者控除・扶養控除・医療費控除など全部で13項目あります。この中でも、自分から行動を起こさないと受けられない項目に絞ってご紹介します。
*結婚したり・子供がいたりすると、配偶者控除・扶養控除に該当する(可能性がある)ので確定申告の際に申告してください。

1.社会保険料控除
社会保険料とは、自分や家族の健康保険、国民年金、厚生年金の支払い金額を指します。
これは加入の義務があり、支払わなければ督促が届きます。とはいえ、健康保険に加入すると通院の費用を一部負担してくれるたり、国民年金・国民年金は将来年金の給付を受けるために必要になってきます。支払った金額が所得控除になりますので、黙って支払いましょう。

  • 控除対象金額:その年に支払った金額

2.小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済とは、個人事業主や小規模企業の役員などを対象にした私的年金制度です。
公的に受けられる国民年金とは別の制度となり、各所得控除の中で、掛金が全額控除対象となるのは社会保険料と小規模企業共済等掛金のみです。

  • 控除対象金額:その年に支払った金額
    1,000円~70,000円 / 1ヵ月あたり

問い合わせ 独立行政法人 中小企業基盤整備機構

また、20171月より個人型確定拠出年金【 iDeCo 】の愛称でサラリーマンや専業主婦の方でも加入できるようになりました。

  • 控除対象金額:その年に支払った金額
    5,000円~68,000円 / 1ヵ月あたり(個人事業主の場合)

詳しいまとめページは最近はやりの【 iDeCo】とは?知って得する制度の全容をご覧ください。

3.生命保険料控除
生命保険料は下記の3種があります。

  • 一般の生命保険料
  • 介護医療保険料
  • 個人年金保険料

控除対象金額:各保険料に対し、年間で払い込んだ金額を基準にして控除金額がきまります。
各保険料に対しての控除限度額は以下の通りです。

  • (一般:40,000円)+(年金:40,000円)+(介護:40,000円)=上限120,000

2711日をさかいに新・旧の生命保険が存在しますが、ここでは新の生命保険を例としてます。
ちなみに、上限の控除を受けるために必要な払込保険料は240,000円必要になります。生命保険料控除については加入の際に各保険会社確認してください。

4.寄付金控除
寄付金控除とは、対象となる団体への寄付を行ったときに受けられる所得控除のことを指します。皆さんも耳にされたことがある【ふるさと納税】も寄付金に該当し、所得控除となります。ここではふるさと納税に焦点を絞りご説明します。
ふるさと納税とは、自分が応援したい市区町村に寄付をすることで、地域貢献につながり、さらに特産品などがお礼として貰えるため、今では多くの方が利用しています。
また、ふるさと納税は、下記の2パターンの内、いずれかの方法で減税されます。

  • 所得控除
  • 税額控除

結論としては、ほとんどの方(所得4,000万円以上の方は別ですが・・)が税額控除がお得なので、便宜上、税額控除の流れでご説明します。

  • 控除対象金額:
    ①所得税から控除される金額
    (その年ふるさと納税額 - 2,000円)×所得税率(*5%~45%)
    ②住民税から控除される金額(基本分)
    (その年ふるさと納税額 - 2,000円)×10
    ③住民税から控除される金額(特例分)
    (その年ふるさと納税額 - 2,000円)×100% - 10% - 所得税率(*5%~45%))

また、それぞれに対しての控除限度額は以下の通りです。

  1. ①の控除限度額:総所得金額の40
  2. ②の控除限度額:総所得金額の30
  3. ③の控除限度額:住民税所得割の20
所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

参考:国税庁/所得税/所得税の税率

例えば、30,000円のふるさと納税を行った場合(課税所得500万円とする)

  1. ①(30,000-2,000円)×10%=2,800
  2. ②(30,000-2,000円)×10%=2,800
  3. ③(30,000-2,000円)×100-10-10%)=22,400

合計:28,000

つまり、30,000円のふるさと納税をしたことで、寄付金控除は28,000円となります。そして、差額の2,000円の負担で特産品を手に入れることが出来ます。

注意点
過度な寄付を行っても、寄付金控除の恩恵をフルに活かすことはできません。例えば所得400万円の方が、ふるさと納税に40万円使ったからといって、全額が所得控除にできるわけではありません。大まかな金額の目安は、所得金額の0.5%~2%程になります。
詳しくは、ふるさと納税の賢い使い方をご覧ください。

起業時にやるべき事

ここでは、起業する前にできる節税方法をご紹介します。開業時に税務署に提出する【個人事業主の開業・廃業等届出書】の提出の際に、併せて行っておけば確定申告の際に節税に繋がります。起業した後でも申請はできますが、タイミングによってはその年度で適用されない可能性もあります。

1.青色申告特別控除
青色申告特別控除とは、所得金額を算出する際に適用される所得控除の事です。青色申告・白色申告の2種類の申告方法があり、青色申告の方が税制上、有利になります。
下記の要件を満たすことで青色申告の適用となります。

  • 開業後、1ヵ月以内に【青色申告承認申請書】の提出
  • 複式簿記、発生主義で年度の会計処理を行うこと
  • 法定期限(315日:毎年、土日祝の絡みで変わります。)内に確定申告書を作成・提出すること
  • 控除金額:650,000

複式簿記やり方や確定申告書の作成などについて、【 freee 】や【 Money Forward 】といったクラウド会計ソフトが便利で、会計処理方法がわからない方でも確定申告がスムーズに行えます。
詳しくは、人気クラウド会計ソフト徹底比較をご覧ください。

2.青色事業専従者給与の控除
控除金額:その年度の労働の対価として相当であると認められる金額

適用条件

  • 【青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書】の提出
  • 青色申告者と生計を同一にする配偶者その他の親族であること
  • 当該年度の1231日に15歳以上であること
  • 青色申告者の事業に、6ヵ月を超える期間専従していること

例えば配偶者が副業で、毎日4時間のパート勤務をしている場合、専従しているとは言えませんので適用されません。一方で年に数回の単発のアルバイトの場合、専従者として認められる場合があります。専従の線引きが曖昧ですが、判断基準は青色申告者の業務に専従できる状態かどうかとなります。
また、専従者に支払われる給料は給与所得となり、103万円を超えると所得税が発生し申告する必要があります。
上記①、②について白色申告者の場合下記の通りになります。

  • ① 控除金額:100,000
  • ② 控除金額:配偶者 860,000円  その他の親族 500,000

控除金額を見て分かるとおり、青色申告のほうが圧倒的に優遇されております。①を見ても55万円の差があります。55万円の控除金額の差を税金ベースに換算すると、大まかに下記の通りになります。

  • 所得税:約58,000
  • 住民税:約58,000
  • 国民健康保険料:約62,000

青色申告をしなかった場合、年間約178,000円もの金額を多く税金などで支払わなくてはなりません。

3.気を付けるべき事
色々な節税方法をご紹介しましたが、最後に気を付けないといけないのがキャッシュフローのバランスです。控除が受けられるからといって、年金の掛け金を上限まで設定しては、事業や生活が成り立ちません。
おすすめの方法は、事業と私生活の通帳を分けることです。事業の通帳から毎月の一定額の生活費を個人通帳に移します。事業用通帳のお金の推移をみると、どれくらいの所得控除に出資できるかが判断しやすくなると思います。
また、各種控除を受けるために控除証明書が必要になります。各種控除証明書は11月から12月にかけて郵送で送られてきます。これがなければ確定申告の際に、各種控除が受けられないので必ず保管しておきましょう。

まとめ:節税のために所得控除は必須

今回の記事のポイントをまとめます。

  • 社会保険料の支払いはMust
  • 小規模企業共済がBest
  • 生命保険料、寄付金はBetter
  • 起業時の節税対策も必ず!

色々な所得控除がある中で、今回は自分からアクションを起こさないと受けれない所得控除をご紹介しました。優先度の高い順番でご紹介しております。私見ですが、①:社会保険は必須として、④:ふるさと納税に所得(売上ではありません。自分の手元に残るお金)の1%振って、③:生命保険と年金に満額振って、②:小規模企業共済に全振りって感じです。④は盆・正月の楽しみです。②、③は老後にみたいな。

皆さんも有意義な節税ライフを。