個人事業主の税金・保険について【仕組みを分かり易く解説します。】

個人事業主向け 税金

サラリーマンの時は給料から税金や保険を天引きされていたけど、起業やフリーランスで独立した時の収益に対して、税金や保険とか何を払わないといけないかわからない。また、年収に対して、どれくらい払わなければならないか把握したい方へ。

本記事では、下記の内容を解説します。

  1. 個人事業主が支払う税金・保険について
  2. 所得別の支払金

フリーランスとして独立する際に不安だったので、税金回りの事を一通り調べました。フリーランスや個人事業主として起業をお考えの方は、一度ご参考ください。

1. 個人事業主が支払う税金・保険料について

1-1. 支払い義務のある税金・保険とは

フリーランスや個人事業主としての収益がある場合、その翌年度2月16日~3月15日(土日祝の兼ね合いで多少異なります)に確定申告を行い、税金の支払いをしなければなりません。
また、住民税や社会保険料の支払いなどもありお金のやりくりに気を付けなければなりません。(サラリーマンの時は給与所得として、毎月の給料から各種税金・保険料は天引きされておりました。)

納税は国民の義務の1つにあたりますのできっちり収めましょう。脱税をしようものならバレた時の代償は結構な金額になります。バレなければ・・と思われる方もいるかもしれませんが、そんな後ろめたい気持ちで仕事をしてもメンタルがやられますのでオススメはできません・・。

さて、その支払うべき税金・保険と支払先や時期は下記の通りになります。

個人事業主(事業所得者)

  • 所得税(税務署。翌年3月15日前後。その年の曜日の関係で前後します。)
  • 個人事業税(都道府県税事務所。翌年8月31日、11月30日。)
  • 住民税(市区町村役所。翌年6月。又は6月・8月・10月・1月の4回に分けて分納。)
  • 国民年金(市区町村役所。納付対象月の翌月末日。)
  • 国民健康保険(市区町村役所。翌年6月より、10ヵ月間にわたり毎月月末。)
  • 消費税(税務署。翌年の3月31日。開業後2年間は納付の義務はありません。また、2年以上経っても、前々年の課税売上が1,000万円以下の場合には納付する必要はありません。但し、前年の上半期だけで課税売上が1,000万円を超え、かつ、この時期の給与等の支払金額も1,000万円を超える場合は、課税事業者となります。)

サラリーマンの時はこんな感じです。

サラリーマン(給与所得者)

  • 所得税(給与天引。12月の年末調整にて清算)
  • 住民税(給与天引)
  • 厚生年金(給与天引+会社負担)
  • 健康保険(給与天引+会社負担)
  • 雇用保険(給与天引+会社負担)

1-2. 税金の仕組み

確定申告を行っておけば、基本的には他の書類の申告などは必要ありません。税務署に確定申告を行うことで、国に収める(所得税、消費税)が算出されます。また税務署は確定申告データを地方自治体と共有しており、各地方自治体が、都道府県に収める(個人事業税)や市区町村に収める(住民税・国民健康保険)を算出して、納付書が郵送されてきます。

つまり確定申告の数字を基準にして、その他の税金・保険料が決定します。

ここではすべての基準になっている確定申告書の簡単な見方をご説明します。

1-3. 税金・保険の計算方法

起業・フリーランスとして独立してく方が、今後支払わなくてはならない税金・保険についての計算方法は下記の計算方法で決定されます。

ここからがキモです。

専門用語が多く登場してきますが、まずは計算の流れを把握してください。

  • 所得税
    収益 - 費用 - 専従者給与 - (青、又は白色申告控除)= 所得金額
    ⇒ 所得金額 - 各種控除 = 課税所得金額
    ⇒ 課税所得金額 × 税率 - 税率に応じた控除額 = 所得税
  • 住民税
    課税所得金額 × 税率 + 均等割額 = 住民税
  • 個人事業税
    (収益 - 費用 - 専従者給与 - 各種控除)× 税率 = 個人事業税
    *専従者給与について、白色申告の場合、配偶者は86万円、その他の方の場合は1人50万円が限度。
    *青色申告特別控除は適用されません。
    *各種控除は、事業主控除290万円・状況に応じて適応される3つの繰越控除等があります。(所得税計算時の各種控除とは異なります。)
  • 国民年金
    16,340円×12か月(年度に応じて多少の変動はあります。)
  • 国民健康保険
    所得金額 - 基礎控除(33万円) = 基準額
    ⇒ 基準額 × 各種保険料率
  • 消費税
    課税売上高 × 消費税率 - 課税仕入等 × 消費税率 = 消費税の納付税額
    *先述(1-1)のとおり、個人事業主は免税事業者のケースが多いので、ざっくりとした計算方法だけご紹介します。

ここで重要なのが、税金を計算するうえで課税所得金額、保険料を計算するうえで所得金額が計算の基準となっていることです。


では、それらを計算する過程で登場した、専従者給与や青色申告控除、各種控除とはいったい何なのか?
ここがいわゆる、節税につながる項目になります。

結構なボリュームですが、フリーランスや個人事業主として独立する方は確実に押さえておきたいところです。

ポイントだけをまとめましたので、【個人事業主向け】おすすめの節税方法【結論です。】をご覧ください。

2. 所得別の支払金額

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2-1. 所得別支払金額のシミュレーション

ここでは、計算を簡略化するために以下のケースで試算していきます。

例)年齢:20歳~39歳、配偶者・扶養親族なし、青色申告、昨年の年収も同等

  事業所得者 : 所得別の税金・保険料 (単位:円)  
青色申告控除前所得金額(A) 2,000,000 3,000,000 4,000,000 5,000,000 6,000,000
所得税 31,200 76,500 145,900 240,300 421,300
住民税 72,500 163,000 253,400 343,900 434,400
個人事業税 0 5,000 55,000 105,000 155,000
国民年金 196,080 196,080 196,080 196,080 196,080
国民健康保険 148,308 243,708 339,108 434,508 529,908
税金・保険料合計(B) 448,088 684,288 989,488 1,319,788 1,736,688
(B)/(A) 22.4% 22.8% 24.7% 26.4% 28.9%
差し引き 1,551,912 2,315,712 3,010,512 3,680,212 4,263,312

 

つまり、青色申告控除前所得金額(収益-費用)の約30%ほどを現金で残しておかないと翌年の確定申告後に発生する税金や保険の支払いが厳しくなります。

また、(1-1)のとおり、所得に対しての税金・保険は翌年以降に徴収されていきます。翌年の所得が極端に下がったりしても、税金や保険は下がる前の所得をベースに計算し徴収するので注意が必要です。

2-2. 給与所得との比較

では、サラリーマン時代と同様の生活水準を維持するためには、いくら稼げばいいのか?上記と同様のケースでサラリーマンと比較してみましょう。

  給与所得者 : 所得別の税金・保険料 (単位:円)  
給与所得 2,000,000 3,000,000 4,000,000 5,000,000 6,000,000
所得税 27,300 54,500 84,600 139,600 204,100
住民税 63,600 118,100 178,200 246,100 310,600
厚生年金 186,660 285,480 373,320 450,180 549,000
健康保険 100,980 154,440 201,960 243,540 297,000
雇用保険 6,000 9,000 12,000 15,000 18,000
税金・保険料合計 384,540 621,520 850,080 1,094,420 1,378,700
差し引き 1,615,460 2,378,480 3,149,920 3,905,580 4,621,300

 

給与所得者と比べて、ざっと10%弱の上乗せした所得を稼げれば、同等の生活水準が保てそうです。

但し、将来もらえるであろう年金を比較すると雲泥の差がありますのでご注意を。

とはいえ、サラリーマンと個人事業主は所得以外に、働き方や拘束時間・税金面での措置などがあるので、所得だけでの比較はしがたいですが・・。

まとめ:税金や保険料は所得で決まる。

今回の記事のポイントをまとめます。

  • 個人事業主が支払う税金・保険は主に5つ
    ①所得税、②住民税、③個人事業税、④国民年金、⑤国民健康保険
  • 税金は課税所得金額、保険料は所得金額によって算出される

ざっと、こんな感じです。

サラリーマン時代に耳にはしていた単語ですが、これで一通りの流れが抑えられたのではと思います。

今回の内容を抑えて【個人事業主向け】おすすめの節税方法【結論です。】をご覧いただくとより理解しやすいと思います。個人事業主の方は必見です。

あと、会社を辞め、独立を検討されている方に向けた記事もありますので、ご参考下さい。

起業時にやるべき事【知っておくと得する3つの事】

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